瀬戸内海賊物語 [映画]

「地元映画の瀬戸内海賊物語の先行上映観てきました」
「ああ、あの本屋大賞とった」
「とってねーし」
「あれ? でもあそこの本屋さん、さもあれが原作みたいに陳列……」
「関係ねーし。ただの村上水軍つながりなだけだし」
「なに、いま村上水軍ブームなの?」
「あーそれは来てるね。いま何十年ぶりの村上水軍ブームだよ」
「……その何十年前のブームを私知らないんだけど」
「愛媛の本屋さんがフィーバーしてるって」
「あそこの社長さん、そういうの好きだって聞いた聞いた」
「でさ、瀬戸内海賊物語は3年前に小豆島で開かれた「瀬戸内国際こども映画祭」で脚本賞をとった作品の映画化でね。村上武吉の子孫の娘と仲間たちが宝の地図を見つけて冒険の旅に出るっておはなし」
「……娘?」
「そのネタはもういいって。でさ、この手の地元の映画祭出身の企画で、地元をを舞台にした映画ってさ、地元の観光地とかいい景色の場所を舞台にして撮るじゃない」
「そりゃそうでしょう」
「言葉悪いけど、そういうのってお行儀のいい風景ばかりになっちゃうじゃん? いかにも観光地みたいなきれいな町並み、絵はがきのような風景、あといい人」
「いやでもそれは、そういうものでしょうに」
「そうそう、それは悪くないのよ。小豆島は観光の島だし、すごくいい感じでとれてるの。主役の子が元気いっぱいでさ、映画にマッチしてて絵になってるのよね。でさ、オープニングで流れるプチ観光名所案内みたいな映像の中で、フェリーが見えるのよ」
「島だからあたりまえじゃない」
「船体が錆びだらけでさ、いかにもおんぼろって感じでね。それまできれいな観光地の風景を見せてくれてたのに、船だけ異常にリアルでさ。あれやばいよ。フェリーの会社からクレーム来ないか心配になったもん」
「おい」
「そんくらいやばかったんだって。あのフェリーだけすごい日常でさ。で、島の大人たちがもめてるのね。主人公の家族も引っ越すかもしれなくて、友達と離ればなれになるかもって状況で」
「なんで?」
「ぼろいフェリーを修理するお金が無くて航路廃止の危機」
「原因かっ」
「めちゃくちゃ説得力あったよ」
「まぁ、あそこの航路はいつも存続の危機でもめてるって印象あるしねぇ」
「ご先祖様の残したお宝の地図をみつけて、金銀財宝があればフェリーの修理もできるし引っ越しもしなくてよくなる!がんばってお宝ゲットしよう!っておはなし」
「子供映画らしい……って言ったら嫌みに聞こえるかもだけど、悪くないわね」
「トリオを組むのは、運動が出来て男勝りな女の子と、メガネのガリ勉くん、東京から引っ越してきたばかりのイケメン」
「そこはお約束ね」
「飛べイサミみたいっていうのと、モスラ2みたいっていうの、どっちがアクセス数稼げると思う?」
「知らないわよ。っていうか、そこはズッコケ三人組じゃないの?」
「メガネくんが頭脳労働で活躍するわりに評価されないところがちゃんと分かってる感じがした」
「おい」
「監督さんはフラグをちゃんと回収してくスタイルのようで好感が持てたよ」
「なんだその評価」
「罠には必ずひっかかるスタイルってこと」
「わけわかんないわよ」
「ライバルは一家そろってツンデレっていいよね」
「おい」
「まぁギャグがちょっとくどいとか、なんだその平成仮面ライダーみたいなバトルシーンとか、ツッコミたいところはあるんだけど、なかなかおもしろかったよ。こども映画祭出身だからデート目的にはおすすめしないけど」
「そりゃそうでしょう」
「最後のスタッフロールでさ、映画祭の審査員の名前が出ててね。金子修介監督の名前があって」
「納得した?」
「すっごい納得した」