マッドマックス 怒りのデスロード [映画]

「まずはこちらの写真をご覧下さい」
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「このスチル一枚にマッドマックの魅力がぎゅっと表現されているよね」
「……ばか?」
「そう、ばか!」
「うれしそうにいわないの」
「ちなみにこの乗り物、後ろ側がこうなっています」
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「……これ、戦うの? 俺の歌を聴け?」
「この映画はずーっと戦っているけど、この車はずーっと太鼓叩いてギター弾いてるだけだよ。ちなみに動画だとこう」

「いやもういいから」
「時間の都合で2D版を観たんだけど、アクションがほんとよくてさ。3D版観なおしてもいいって思ってる」
「まぁ、アクションはすごそうよねぇ」
「マックスたちが乗り込むウォートラックはタイヤがたくさんついていて」
「待って」
「はい?」
「なにそのタイヤがたくさんって。中学生?」
「小学生だと思う。ぼくがかんがえたかっこいいくるま。タイヤホイールがトゲトゲで、タンクにガソリンと水のほかに母乳が貯められてんの」
「えー」
「太鼓とスピーカーを積んだ車とか、車体全体をヤマアラシみたくトゲトゲにしたやつとか、いろいろイカレタマシンのオンパレードでさ。ボスのイモータン・ジョーのマシンはキャデラックをドンドンと2台積み重ねてんの」
「なんで?」
「権力の象徴だって」
「あ、あー……」
「世界が滅び去った後の世界で繰り広げられるデスバトルって映画だから頭んなか空っぽで観ても大丈夫なんだけど、SF映画として観てもよく出来てるんだよ」
「そーおー?」
「まず、マックスが捕まって「O型 ハイオクタイプ」って入れ墨を入れられるのね」
「戦時中の国民服に血液型書いた名札縫い込んだやつみたいね」
「でもそれはいざという時輸血がしやすいようにってやつでしょ? こっちはほんとひどくてさ。人間を血液の供給源としかみてないのね」
「ああ、血液奴隷なんだ」
「捕まったマックスが殺されずに連れて行かれる理由がこれ。人類滅亡後の世界だから、登場人物ほとんど全員過剰だったり欠損があったり病気だったりすんのね。そんな世界観だから、車にマックスをくくりつけて、輸血の管を通して、輸血を受けながらマシンを駆るわけですよひゃっはー」
「映画で観たらテンション上がるんでしょうけど、小説みたいなメディアで細かい設定読んでたら重い雰囲気にやられちゃいそうね」
「マシンも考えられててさ、バトルで激突するだけじゃなくて、竿の先に爆弾くくりつけて相手のマシンに突き刺すとか、火炎放射器で焼き払うとか、そんなことをしてる世界観だから、イマドキなカーボンファイバーじゃなくて、重量感のあるスチールでなくちゃいけない。修理工場はあってもコンピューターなんてないからハイブリッドカーなんておとぎばなし。エンジンはシンプルで故障が少なくパワーのあるV8エンジンでなくちゃいけない。修理できないから」
「なのにキャデラック二台重ねなんだ」
「だからこそなんだよ。それくらいバカができるほどすごい権力持ってるって象徴」
「ああ、なるほど」
「設定がしっかりしてて映像にうまく反映されてるSF映画っていえばインターステラーなんだけど、世界観の構築の完成度って観点で見れば、マッドマックスはインターステラーを凌ぐよ」
「あ、言ったわね」
「言う言う、言っちゃう。映画の登場人物とシンクロしてヒャッハーしながら観るのがこの作品を楽しむ王道な見方なんだけどさ、熱いバトルを魅せるためにどれだけ映像や設定を考えぬいているのかもちょっと観てみて。ほんとすごいから」